韓国映画

February 18, 2020

韓国映画 パラサイト 半地下の家族

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韓国映画の「パラサイト〜半地下の家族」がアカデミー賞の作品賞を含めた4部門を受賞したときいて、嬉しさも相まって、さっそく見に行ってきた。これは、日本のテレビでの紹介動画である。




タイトルは 英語の PARASITE をカタカナにしたものであり、その意味は「寄生虫」、そして「居候」という意味にまで発展している。 この映画の韓国語の原題は、「기생충(きせんちゅん」で、日本語に直すと、まさに「寄生虫」なのだ。貧しい家族がお金持ちの家族に寄生する様を描いた映画である。

主人公は半地下アパートの貧しい失業者ファミリー、キム家の旦那で、今や韓国の映画には欠かせないビッグ・スター、ソン・ガンホが演じる。そして「コーヒープリンス1号店」をはじめ数々のドラマで日本でも人気が高いイ・ソンギュンが、IT企業のパク社長というお金持ちの側の代表に扮している。

ストーリーは、頭脳明晰ながら貧乏が故に良い大学に入れなかったキム家の息子が、あるお金持ちの家の高校生に英語を教える家庭教師の話を友人から持ちかけられてその家庭教師になるところから始まる。その後、その高校生の弟である小学生少年の美術の家庭教師、パク社長の運転手、そして家の中の女中を自分のキム家ファミリーで、それぞれ別人として任されるように持っていく。ここまでがキム家のサクセスストーリー的なイントロで、この後がドラマの本番、本編だと言える。

どれだけ、この偽装した居候がファミリーとして稼いでいけるのか。このような状態を維持していくのは簡単ではない。大人はだませても、純真な子供や、本能で生きているペットはごまかし様がないのだ!

あとはネタばれにならないように、これ以上書くのは遠慮したいと思うが、ひとつだけ書いておきたい。

主人公のキム一家が住む「半地下」の住まいは、元々は防空壕や、ボイラーの収納に使うために作られたスペースである。そのスペースが、韓国の高度成長時代に、半分不法な、格安住居として大々的に活用されたというのがルーツであり、今は減りつつあるが、貧乏世帯を象徴する家だと言える。アパートの屋上に作られた「屋塔房」も似たような経緯でできたものだ。

Half Basement House


この映画では大雨のために主人公が住む半地下のアパートの周辺が大洪水になり、半地下住居の悲惨な描写が生々しかった。そして、次のシーンは避難所。なんと、日本と同様に、避難家族は体育館にまとめて集められて、床の上で集団雑魚寝である!韓国もこの点は日本と変わらないのだということに、半分納得、半分失望であった。こういうところも似てるんだなぁ。

この映画は絶対に見て後悔はしないと思う。今、日本でも公開中だから見ておいてね!

paul83 at 23:39|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

September 28, 2019

韓国メディアの闘い「共犯者たち」

韓国ドキュメンタリー映画 共犯者たち

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共犯者たち/공범자들/Criminal Conspircacy この映画は2017年、韓国で文在寅(ムン・ジェイン)大統領が就任した直後に韓国で公開されたドキュメンタリー映画。韓国の主要テレビ局、KBSMBCで、当局に反発したために追い出された記者たちの物語。

ここで当局とは、2008年に登場した李明博(イ・ミョンバク)大統領の政権から、その流れを継承して2013年に誕生した朴槿恵(パク・クネ)大統領までの9年間に渡る政権である。

政権発足の2ヵ月後には米国から輸入した牛肉がBSEに感染していることがテレビや新聞で大々的に報道され、今の韓国での市民運動の形として定着したロウソクデモが大規模に行われた。最終的に大統領は謝罪をすることに。政権としては大きな痛手を負うことになった。

これに懲りた大統領は、メディアへ露骨に介入し始める。

政府に反抗的な報道番組は打ち切られ、関係した記者は左遷されたり解雇された。社長も政府の言うとおりに動く人に換えた。

KBSでも、MBCでも、記者魂を持った良心的な記者たちは一丸となって反抗する。その主な形態がストライキだった。期間は最短でもKBSの29日。最長はMBCがなんと170日間という最長記録を作った。ストのたびに責任的な地位の記者は解雇や左遷という憂き目に会っている。

そのように解雇された記者の一人、MBCで「PD手帳」という報道番組を牽引した記者、チェ・スンホが監督としてこの映画を作った。彼はMBC退社後、非営利報道機関、ニュース打破/뉴스타파 に入り、様々な取材をしながらこの映画撮影を同時に進行した。ところどころ、アメリカのドキュメンタリーの第一人者、マイケル・ムーア監督のような、アポ無し突撃取材も見ることができる。インタビューの質問は相手に都合悪いことなので、決してまともに答えてはくれないのだが。その中でも圧巻は、映画撮影がほぼ完了した最後に、元大統領の事務所前で4年ぶりにアポ無し取材に成功したことだ。チェ・スンホ記者は、「マスコミを破壊した主犯だという批判についてどう思われますか?」と質問を投げた。ここで「主犯」という言葉が使われるが、この映画のタイトルである「共犯者たち」は政権の意図通りの報道しかしない、御用メディアになり下がった2大テレビメディアということだ。

寄付で運営されているニュース打破のサイト

この映画では、政府の意図によって送られてくる社長や役員を辞めさせるための戦いや、大統領のセウォル号事件のときの問題も登場する。その様子を通して、KBSMBCの記者たちは彼らの記者魂を存分に見せつけてくれる。中でも面白かったのは、一人の記者がフェースブックで「○○○社長は辞めろ」というコールをする姿を生配信する。家族が心配し、それを一人でやってたらただの変人になってしまうと忠告した。その忠告を受けて、考えた記者は、なんと、テレビ局のロビーで、自分から始めて、大勢の記者たちが彼と同じことを始め、お互いに撮り合う、大きなSNS上の運動を起したのだ。このシーンは一見の価値がある。

この映画はメディアが政権側に付いたとき、国家は大変なことになり、国民の知る権利が侵害され、権力者が思いのままにできるということをありのままに見せてくれる。

エンド・タイトルにはこの期間に政府に反発して不当逮捕や不当懲戒されたテレビ記者、関係者の名前が延々と流れる。その人数に圧倒される!

翻って日本では、主要放送局の社長や役員が総理大臣と食事をするような状況。日本も李明博朴槿恵 両政権が歩んだ同じ道を歩んでいるのだ。

日本には韓国のように記者魂を持った記者がいるのか、いないのか。もうそれはすでに明らかなようだ。もう2日後には消費税がアップしてしまうが、テレビでは消費増税に反対する意見はほとんど聞かれない。ツイッターで藤井聡氏が消費増税についてキレている映像が出回っているが、それが奇異に映ってしまうほど、一般の視聴者は洗脳されているのかも知れない。これが僕の思い込みに過ぎないことを願っている。

日本のメディアよ、韓国のタマネギ男について騒いでいる余裕があったら、この映画でも見て反省しろ!
kyouhanshatati

YOUTUBEには、一時ネット公開された動画が誰かによってアップされている。字幕なしでも見たい人は削除される前にご覧あれ!



paul83 at 17:52|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

April 23, 2009

韓国映画「僕の彼女を紹介します」5

 

5295a8cf.jpgこの映画、「猟奇的な彼女 」で見せたのと同じような男勝りのキャラをチョン・ジヒョンが演じているが、勇ましいときと可愛いときのギャップが大きくてたまらない。ひょんなことから、誤逮捕してしまった男と二人で手錠の片方ずつをはめた状態でまましばらく一緒に過ごすうちに、互いに惹かれあい、付き合うことになるのだが、二人で一緒に洗面所で顔や足を洗う場面は傑作だ。

タイトルの「僕の彼女を紹介します 」というセリフは、最後の方にやっと出てくる。

その場面に前作「猟奇的な彼女 」での相手役、チャ・テヒョンがチョイ役で出ていたのには笑えた。

全編を通して、主人公たちの愛の深さについて、恋人のジョンウが不慮の死を遂げた後も一途にジョンウのことを思う主人公・ギョンジンの姿に心を打たれた。ギョンジンは、ジョンウを自分が撃ち殺してしまった(?)自責の念に悩まされて何度も死のうとするが、風になったジョンウが助ける。

これを見て思ったのは、人間いつ死ぬか分からない。夫婦、家族に自分が死んでから、或いは家族の誰かが死んでから後悔しなくて良いように、今のうちに人を思う存分愛して、やりたいこと、やるべきことをしないといけないということ。何だか心が洗われた。純粋に泣けた映画でした。

ところで、この音楽、X-JAPANの歌がテーマソングとなり話題だったが、その他にも、Bob Dylan"Knocking On Heaven's Door"(天国の扉)のカバーと、Jackson BrowneThe Holliesのカバーで有名な、"Stay"(ステイ)のオリジナルが何度も流れて良い味を出していた。前者は元々保安官も出てくるアメリカ映画、"Pat Garrett & Billy the Kid "の主題歌であったので、この映画でもしっくりと来た。映画冒頭のシーンで、空から撮ったようなソウルの夜景の中でこの曲のイントロが流れてくるところはなかなか格好良い始まり方だな、と思った。




paul83 at 07:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック