佐藤章

June 24, 2023

福田村事件から100年5

fukuda village pair

今朝のNHKニュースによると、千葉県野田市が100年前にそこで起きた福田村事件の犠牲者に対して弔慰を表明した。



4年前に瀬戸内KSB放送で福田村事件が紹介されたことがある。この動画で概要は分かる。



関東大震災の数日後、四国の香川県からはるばる千葉まで品物を売りに来た行商人達が讃岐弁という聞き取りにくい方言を使っていたので、千葉の人々は彼らが朝鮮人だと思い込んだ。当時、政府は朝鮮人が震災後の混乱に乗じて暴力を振るったり、井戸に毒を撒いたりしているという流言飛語(デマ)を流していた。人々は自警団を組織し、朝鮮人狩りをして、大勢の朝鮮人を殺害したと言われる。

この事件は9人の日本人が朝鮮人と間違われて自警団に殺された事件であると同時に、当時朝鮮人狩りが横行していたという事実を裏付けることとなった。だから、公にせずに隠していたいことだったのだろう。

千葉の地元では闇に葬られていたが、犠牲者側の香川県の有志の人達によって真相究明が行われ、慰霊碑も作られた。

そして今回、100年目になって初めて当時の現地、現千葉県野田市がそのことを認め弔慰を示したのだ。

NHKのニュースが流れた今日は、辻野弥生 氏による福田村事件」という書籍の発売日だ。偶然だろうか。それとも何か意図があったのだろうか。


この書籍は2013年に一度刊行されたものの、すでに絶版になって久しいという。その後、復刊の話が持ち上がり、更には森達也 映画監督の初の劇映画として制作されることになった

最近 佐藤章 氏が YOUTUBE 動画でこの書籍を紹介してくれた。


上の動画のBGMは 中川五郎「1923年福田村の虐殺」である。2009年に発表された20分以上に及ぶ長編曲である。歌詞が表示されるので、興味ある人はこの動画で聞いてみて欲しい。この歌詞で事件の詳細がわかる。




森達也監督の映画、「福田村事件」にはスポンサーが集まらず、クラウド・ファンディングでの予算確保での製作となった。こちらは関東大震災100周年になる9月1日に公開される予定だ。

映画「福田村事件」予告編



それにしても今朝のニュースによると、弔慰を示したのは「野田市」という抽象的な存在なのだ。市長とも、市議会一同とも、市民とも、あるいは加害者の親族とも示されていない。 どうやら、いまだに誰も責任を感じていず、反省もしてないけど、今回ご紹介した書籍と映画で注目を浴びることになることを予見してこのように謝罪もせずに抽象的な「弔慰」で予防戦を張っておこうとしてのことなのだろう。

管理人は中川五郎が歌う「1923年福田村の虐殺」を聞いてこの事件について知ったのだが、とても衝撃的だった。 その後、管理人はこの歌を広げるためにできることをやってきたつもりだ。

事件100周年を迎える今年、書籍の復刊と映画が公開されるのは非常に画期的なことだ。書籍も読んで、映画も見て、より知識を深めたいと思っている。

paul83 at 13:57|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック