イラク
April 17, 2009
ニール・ヤングの反戦アルバム

僕は最近、偶然にニール・ヤングのアルバム、"Living with War "を聞くことができた。これは驚くべきアルバムだった。 ニール本人が「これはメタル・フォーク・プロテスト」アルバムだと宣言しているとおり、アルバム全体が反戦メッセージで満たされている。プロテスト・アルバムだ。タイトルから、戦争の話題からいつも逃げられない現代の生活を表している。
これは2006年発売のアルバムで、もう3年も前のこと。この中で特筆すべきなのは、ストレートなプロテストソングが沢山入っていること。例えば、「大統領を告発せよ」"Let's Impeach the President"という曲は、イラク戦争についてフセインとアルカイダの関係について、フセインの大量破壊兵器所持疑惑について、発言が変わっていることを取り上げている。曲中にブッシュ前大統領の肉声も入っていて、歌詞カードには記されていないが、プロモーションビデオで英語字幕で確認することができるようになっている。最初の発言と、後で翻した発言が順番に入っててとても分かりやすい。
次に、「指導者探し」"Looking For A Leader"では、「アメリカに指導者はいるが、ホワイトハウスには指導者がいない」という趣旨で、曲中に「恐らく次の大統領は女性か黒人かも知れない」と、当時からポスト・ブッシュ候補として注目されていたヒラリー・クリントンや、バラック・オバマを示唆している。オバマに関しては、コリン・パウエルと一緒に、黒人大統領の可能性として一緒に実名が出てくる。このPVには、初代からG.W.ブッシュまでの歴代大統領の写真や動画が順番に出てきて面白い。ブッシュの次は、まだこの時点では「?」となっている。
他にも、「自由の旗」"Flags of Freedom"は歌詞の中に1963年に公民権運動で盛んに歌われた、Bob Dylanの「風に吹かれて」"Blowing In The Wind"を登場させ、曲は、やはり、Bob の"Chimes of Freedom"の続編のような作りになっていたり、「落ち着きの無い消費者たち」"Restless Consumers"では、報道規制下のマスメディアの報道に一々反応して振り回される大衆を描き、テレビやラジオは信じられないと歌っていたりする。
ニール曰く、こんなことは20台の若い連中がやってくれるだろうと思ったが、未だに自分たちの世代が現役で頑張って続けていかなければならないと、若いミュージシャンたちに対する失望を表現していた。
プロテスト・ソング研究家と自負していた僕が、ニールに関しては関心外だったので、今になってこのアルバムを見つけて、とても残念だ。もっと早く紹介できればよかったのに。
ここで全曲のPVを見ることができるので、興味ある人はぜひ見てください。ほとんどのPVの下方にイラク戦争での月ごとの死者数が紹介されている。久しぶりに通して聞く気になるアルバムを見つけた。しばらくは歌詞の内容を楽しませていただくとしよう。
February 16, 2007
Bruce Cockburn のアルバム "Life Short Call Now"
昨年(2006年)の6月に発売されたカナダのベテラン・シンガー、Bruce Cockburnのニュー・アルバム、"Life Short Call Now"を買った。 曲目リストは以下のとおり。(青いリンクから歌詞へ飛べます。リンク無しはインストゥルメンタル)
Title: Life Short Call Now |
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1. Life Short Call Now |
2. See You Tomorrow |
3. Mystery |
4. Beautiful Creatures |
5. Peace March |
6. Slow Down Fast |
7. Tell the Universe |
8. This Is Baghdad |
9. Jerusalem Poker |
10. Different When It Comes to You |
11. To Fit in My Heart |
12. Nude Descending a Staircase |
この中で、8曲目の"This Is Baghdad(ここはバクダッド)"は、アメリカのイラク戦争を痛烈に批判したメッセージソング。 アメリカの失敗は、イラク攻撃によりアメリカが予想していたのと異なる結果になったらどうするのかを考えなかったことだと主張している。彼はイラクを訪問し、現実を見て感じたことを歌にしたのだ。 4曲目の"Beautiful Creatures(美しき動物たち)"は、人間の開発により絶滅していく動植物たちを哀れむ歌。
彼は、80〜90年代のアメリカの中南米政策を非難するためにそれらの国を訪問し、地雷問題を調べるためにモザンビークへも行っている、積極的な活動家シンガーだ。
彼のアルバムは数年前まで日本でも国内盤が発売されてきたのだが、このアルバムは国内盤が発売されていないようだ。 恐らく、日本では売れないので、レコード会社が手を引いたのだろうと思う。 こんな良質な歌手が日本であまり紹介されないのはさびしいことだ。
日本語紹介ページ
公式サイト
10曲目・Different When It Comes To You のPV
Bruce Cockburn Project
10曲目・DIFFERENT WHEN IT COMES TO YOU のPV
December 31, 2006
フセイン処刑・ブッシュふざけるな!
汚れた弾丸―劣化ウラン弾に苦しむイラクの人々
誰も書かなかったイラク自衛隊の真実―人道復興支援2年半の軌跡
イラクの中心で、バカとさけぶ―戦場カメラマンが書いた
イラクの元大統領、フセイン氏が処刑された。 少なくとも一国の大統領を長年務めた人物が、たかが大統領一期目を終えようとしている他国の大統領のために殺されたのだ。
たとえフセインが国民を大虐殺したとしても、これはまずは内政問題だ。 アメリカにとっては他国の問題だ。 イラクは独立した国連加盟国だ。 その国に攻め入り、街を破壊し、他国民を殺害しているのが、ブッシュのアメリカなのだ。
そもそもイラクが大量破壊兵器を持っているというのがアメリカのイラク侵攻の口実だったはず。 しかし、大量破壊兵器が発見されもしないのに、フセイン大統領を捕獲逮捕し、挙句の果てに処刑した。
テレビで放映されたフセイン大統領の裁判での勇姿は、正に革命家の姿だった。 信念をつらぬく革命家の魂を見た。 彼の姿は多くのイラクはじめ中東の一般国民に勇気を与えたのではないだろうか。 彼の悪行は許せないとは思うが、大統領を20年以上も続けられたのはそれなりの力があったからこそだろう。
中間選挙を向かえるころからのブッシュのぶざまさとは、何と対照的だろう。
ブッシュ政権は何人の罪の無い中東・アジア人を殺すのだろう。 ブッシュ政権こそ、良心ある大衆による制裁を受けねばならないだろうと思う。