August 21, 2005
エアサプライ結成30周年記念盤、ファンにはショッキング!
最後の自由行動の日にCDが安くて有名なお店へ行って、そのCDを見てみた。 曲目は、前半は彼らのオリジナルヒット曲で占められ、中ほどに彼らがこれまでカバーした、"Witout You" などの数曲が並び、その後にはなんと、Simon & Garfunkel(サイモンとガーファンクル)の名曲を5曲もカバーしていた。 それに興味が沸いたのと、日本円にして700円前後という価格につられて購入した。
日本に帰ってきてから聞いたのだが、第一曲目、"All Out Of Love" を聞いて衝撃を受けた。 声が違うのだ!
エアサプライといえば、ハイトーンボーカル・デュオとして有名だが、特にラッセル・ヒッチコックの女性のような美声が特にウリで、「ペパーミントサウンド」と形容され、80年代前半に多くのバラード・ヒット曲を放った、当時はとても個性的なバンドだった。
しかし、90年代も後半に入るとラッセルのボーカルも褪せてきて、僕がコンサートを見た1999年には、高音部でかなり無理をしている印象を受けた。 その時期前後に発表されたアルバムでは、ラッセルのボーカルの割合が減り、グレアムのボーカルが中心になっていた。ラッセルのパートもあまり高音ではなかった。
そして今年録音されて発売されたと思われる今回のCDでは、ラッセルの声は昔の面影をかすかに留めつつ、かなりグレアムのそれと似てきていた。 それでも往年の名曲をオリジナルのキーで歌い切っているのには驚いた。声はしっかり出るのだが、その声が変わってしまったようだ。 バラードよりもロックバンドが似合いそうなハスキーボイスだ。
演奏はほとんどオリジナルと一緒。 しかし、オリジナル盤を超えることは絶対にないと思う。 彼らはどうしてわざわざこんなCDを録音したのだろう? 30年目の自分たちを見てくれ、ということなのだろうか。 「今の自分たちはこの程度です」と、告白するために新たにレコーディングしたのだろうか。
サイモンとガーファンクルをカバーしたのは、これからはラッセルの声には期待せずに、サイモンとガーファンクル並のフォーク・デュオとして活躍したいので、そこに期待して欲しいというメッセージだと受け止めたい。 S&Gのカバーも、オリジナルに忠実に再現されていて、なかなか良い味を出している。 ただ、どこがラッセルでどれがグレアムなのか、区別しづらいのが玉に瑕。
ひとつだけこのアルバムに疑問を抱いている。 このアルバム、アマゾンでは探せないし、彼らのホームページでも紹介されていない。 台湾でしか売ってないのだろうか? 台湾のこのサイトで紹介されている。
自分たちの現在を公表し、もう以前のようにするのは無理だと開き直り、新たな道を模索する、彼らのミュージシャン魂に拍手を送りたい。