拉致

August 23, 2011

蓮池薫さんの手記

半島へ、ふたたび北朝鮮に拉致されて2002年に日本に帰国した蓮池薫さんがソウルを訪問したときに書いた手記、「半島へ、ふたたび 」をあるところで見かけたので、ザーッと読んでみた。

大学生のときに拉致され、24年間を北朝鮮で過ごし、劇的な日本への帰還を果たした後、再び朝鮮半島へ、今度は韓国のソウルへ行ったときのお話。

僕自身韓国へ何度も行っているので、日本に比べて自動販売機が少ない、カラスがいない、地下鉄が深い、などなど、書いてあることがよく理解できて面白かった。

2009年に発売され、第9回新潮ドキュメント賞に輝いている。

青春真っ盛りの時期を北朝鮮で過ごした蓮池さん。日本では市役所に勤務するようになったが、やはり自分の特技である朝鮮(韓国)語を使って仕事をしたいと思い立った。朝鮮では日本語を朝鮮語に訳す仕事をしていたのだ。

友人に相談して舞い込んだ仕事が、朝鮮観光ガイドの翻訳だったそうで、自分の名前を出さない約束で訳したものの名前を出されて抗議したら、話の成り行きでギャラがもらえなくなってしまったそうだ。そのあと色々な韓国の本を和訳している。そのために一生懸命学習されたようだ。

印象深かったのは、朝鮮はピョンヤンにある「祖国解放戦争勝利記念館」とソウルの「戦争記念館」の対比だ。

ソウルの戦争記念館には朝鮮戦争、ベトナム戦争、その他の海外出兵などで犠牲になった兵士の名前が刻まれた小さな牌がズラーっとはめ込まれた壁がある。ここでは英雄も「しがない歩兵」も同等に扱われている。反面、北の施設には活躍した英雄は大きく賞賛され、銅像があったりするが、その他大勢とも言える一般兵士の名前は一切記録されていない。「虎は死んで皮を残すが、人は死んで名を残す/범은 죽어서 가죽을 남기고 사람은 죽어서 이름을 남긴다」というが、名前も残らないのであれば1頭のトラ以下の扱いだろう。

朝鮮でもソビエト崩壊以降、秘密裏に占いが流行っているという話と、現在の韓国での占いを実際に見てもらった体験も面白かった。

初めて見る韓国を、まずは北朝鮮と、次に日本と比較するという変わった観点からの文化比較はとても面白いと思った。



paul83 at 07:30|PermalinkComments(0)TrackBack(0)